チェット・アトキンス(やマール・トラヴィス)のスタイルにケルティックやカントリー・ブルース、ゴスペルやスウィング・ジャズなどからの影響も受けつつ、独自のスタイルを創りあげてきたドイル・ダイクス。95年に発表されたデビュー・アルバム『FINGERSTYLE
GUITAR』は、世界中のアコースティック・ギター・ファンを驚かせた。チェット・アトキンス曰く「ドイルはフィンガー・ピッキングのギタリストとしては今考えられる中でベストの１人だ。私はミュージシャンとしての彼と、人間としての彼を心から愛して止まない」。
現在はナッシュヴィル在住で、コンサート・ツアーやテイラー・ギター主催のギター・クリニックなどに多忙な日々を送っている。私は2000年にカルフォルニアで開かれたNAMMショウのテイラー・ギターの特設ステージで彼のライヴを観る機会があったのだが、小さな会場に用意されたイス席はスグに詰まり、彼の演奏が始まる頃には立ち見客で一杯になった。彼はユーモアを交えながらの余裕のステージで、目を見張る早弾きテクで驚かせたりスロー・バラードでウットリさせたりと、選曲やステージ運びもメリハリのある「さすがプロのライヴ」と納得させる演奏。僅か30分ほどのショウ・ケースのステージだったが、フラリと立ち寄ったリスナーにも熱狂的なドイル・ダイクス・ファンにもきっちりと自分自身の音楽をアピールしたもので、その事が強く印象に残っている。2001年春にモリダイラ楽器主催の「フィンガーピッキング・デイ」の為に来日し、2002年７月発行のリットー・ミュージック刊「アコースティック・ギター・マガジン」誌でインタビュー記事＆プレイ分析も掲載されたし、押尾コータローのラジオ番組『押しても弾いても』にも出演し、日本での知名度も急激に高くなり、全国各地に多くのドイル・ダイクス・フリークスを生んでいるようだ。（プー横丁店主:
POOH）
