POOHの世間話コーナー

エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その1

 

 「ツアー滞在記」なんていっても、移動日やオフの日も含めてエリック・カズの初来日ツアーが始まってから終わるまでの11日間のうちで同行したのは丸5日プラス何時間か、コンサートも全8公演のうち私が観たのは3公演だけなので、エラそうな事は言えないです(言うつもりもありません)が、公演の無いオフの日に京都観光した時の事や、予めスケジュールに含まれていた東京での各雑誌社からの取材の時の模様なども、お話したらファンの方に喜んで頂けるのではないかと思いました。それに、ソロ第3弾『1000年の悲しみ』の発売レーベルとして関わった今回のエリックの初来日ツアーが全て終了した今、見聞きして感じた事を記しておきたいとも思いましたので「世間話」の1つとして残す事にしました。それでは、いつものように(?)ダラダラと話し始めましょう。

 2002年9月4日、つまりツアーが始まる前日にエリック・カズは、日本にやって来ました。エリックが成田空港に無事到着し、夕食を済ませた後はしっかり休息をとっておいてもらう為に早めにホテルに戻った事を、招聘元のトムス・キャビンの担当者Iさん(エリックは今回のツアーにトムスさんのスタッフとして同行した彼の事を日本滞在中ずっとファースト・ネームの「ハジメ」と呼んでいたので私も以後はそう呼ぶことにします)から連絡を受け「いよいよ明日からエリックのツアーです。頑張りますんで宜しくお願いします」と電話口から聞こえるハジメさんのマジな声。「ハイ、頑張りましょう。明日の公演が終わってからエリックの表情やお客さんの反応も聞かせて下さい」「解りました」と、そんなやりとりをした後、私の胸は色んな思いが交錯しました。「遂にやって来たんだなぁ」「どんなコンサートになるんだろう」「コンサートに来るお客さんで、前もって『1000年の悲しみ』を聴いている方は、各会場どの程度の割合なんだろう」等々。期待と不安が入り交じる状態。けれども、彼のライヴ・ステージそのものに関しては全く心配ではありませんでした。ベテラン・アーティストですし、『1000年の悲しみ』に入ってる唯一の2002年の録音となる「Temptation」を聴いてもヴォーカルは衰えてなくて、30年前と変わらないのが不思議なくらいの出来ばえでしたから。それに、来日直前にエリックから意外なメールが届いたんです。それは、日本に向けて旅立つ直前に最後の連絡のつもりで私がメールした時に「日本の今の天候に関して誰かから聞いてますか? 今、僕は上着はTシャツ1枚だけど、9月中旬まで続く今回のツアー中に日本の天候は大きく変わる可能性がある。特にコンサート最終日は日本の一番北に位置する島(日本人である我々は北海道や四国が島だなんていう感覚は余り無いのですが、海外からのゲストと話してると北海道アイランドとか四国アイランドなんて彼等が言うので、妙な気がします。彼等にとって日本は《4つの小さな島》からなる島国なんですね)、北海道の札幌であるんだから、セーターも持って来といた方が良いですよ」と老婆心ながらアドヴァイスしておいたのです。すると短い返事が届き、「じゃあ、セーターも持っていくよ」なんて事は一言も書いてなくて、代わりに送られて来た文面はこんな風な書き出しでした。「コンニチワ オ ゲンキ デス カ?」それには詳しくは書かれていませんでしたが、日本語会話を練習しているそうで「《ドーモアリガト》以外にも日本語が幾つか話せれば、会場のお客さんとのコミュニケーションも上手くいって和んだ雰囲気のステージになるだろう」という事が、前もって想像できました。

 9月5日、大井町の「きゅりあん」で行なわれた初日の東京公演は、キャパ250席分の前売りチケットが早い段階で売切れ、追加の立ち見席も売切れ必至だと前もって聞いていましたので、第1日目が興行的に成功する事は間違いなかったのですが、実際のエリックのステージやお客さんの反応がどうだったか、やはり気になります。すると、夜の10時半を回った頃だったでしょうか。トムスのハジメさんから連絡があり「エリックの初日コンサート、終わりました。大盛況でした。休憩なしで90分間ずっと歌ったんで、それにコンサートが終わってからのサイン会も長蛇の列で、後で『ちょっと疲れた』ってエリック言ってました」「休憩なしで90分ぶっ通し? それは疲れたやろなぁ」「『1000年の悲しみ』のCDもよく売れてましたよ」「ホントに? それは良かった」なんて話でホッとしました。で、13日に予定している前述の各雑誌社からの取材が、もう1社増えるかも知れないので、その事を日本に到着した日エリックにハジメさんを通じて伝えてもらい、その時は「全く構わない。何社でもどうぞ」という感じだったらしいのですが、ツアーも終盤に入って横浜公演の翌日に丸1日取材はツライかも知れない。一旦OKしてたけれど「取材は既に最終決定している4社だけにして、追加は勘弁してくれないか」なんて話になる可能性もハジメさんは心配していて「明日、神戸でお会いになった時、POOHさんから念の為にもう1度エリックに確認しといて頂いた方がいいと思うんです」との事。「そうかぁ。貴重な機会だから、取材をして下さる音楽メディアの方からの申し出を断るのは気が重いけれど、実際に『当日の取材は何社までにして欲しい』なんてエリックがハッキリ言わなくても、気ノリしない様子ならそうするしか仕方ないかなぁ」と少しダークな気持ちになりました。でも、メールをチェックすると東京公演を観に行ったばかりの友人知人から幾つもの「興奮気味のメール」が届いていて、異口同音に当夜のエリックのライヴが「最高だった!!」事を伝えてくれていました。「よーし、追加の取材を断らないといけなくなっても頑張るぞー」と自分に気合いを入れたのでした。

 

※続きは「エリック・カズ初来日ツアー滞在記 / その2」

 

 最終回エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その10  - お別れの日 - 2002年11月5日up
  
エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その9  - 取材の日の夜 -
  エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その8  - 取材の日 - 
  エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その7  - 横浜サムズ・アップ -
   エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その6 - その翌日 -
  エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その5  - 京都での休日 -
  エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その4  - 京都磔磔の日 -
  エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その3  - 神戸翌日の朝食 -
  エリック・カズ初来日ツアー滞在記 その2  - 神戸チキンジョージにて -

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