POOHの世間話コーナー

    ウッドストックに行ってきました その2  2001年10月up(注: 行ったのは8月です)
    ウッドストックに行ってきました その3 2001年12月up
    ウッドストックに行ってきました その4 2002年1月up
    ウッドストックに行ってきました その5 2002年2月up
    ウッドストックに行ってきました 最終回 2002年3月up

ウッドストックに行ってきました/その1《カタログ未掲載》2001年10月

 8月下旬、ウッドストックに行きました。現地に滞在したのは実質たった2日で、どこにも寄らずに帰国したという「短期間にもほどがある」旅だったのです。何故そんな小旅行をしたのか。理由があります。
 7月初めにガース・ハドスンの奥さんのモード・ハドスン(Maud Hudson)から「8月24日(金)の夜に地元ウッドストックのベアズヴィル・シアターでガース・ハドスンの初ソロ・アルバム『THE SEA TO THE NORTH』のリリースを祝うコンサート」が行なわれるとの連絡がありました。その時点でまだ同CDはリリースされていなかったので、アルバムの内容も分かりません。ゲストにグレアム・パーカーやプロフェッサー・ルウイー&ザ・クロウマティックスの名前も上がっていましたが「行けたら良いけど、お金も暇も無いしなぁ。まぁ無理だなぁ」と諦めてたんです、初めは。

 実は、ウッドストックは一度も行った事がなくて、ハッピーやアーティが(それまでも手紙のやりとりはしてましたが)77年「マッド・エイカーズ来日公演」ツアーで来日した時に初めて会って以来、彼等から「一度ウッドストックにおいで」と言われ続けてきたのですが、私は元来「大の旅行好き」なんてのでは全然ないんですね。現地までの往復に時間がかかって、やたら乗り物に乗ってる時間が長かったりする。「そういうのも旅の良さじゃねぇか」てぇ方もいらっしゃるかも知れませんですがね、あたしゃアそうじゃない(ここいらへん最近読んだ柳家小三治の本の影響が出てます、ご容赦を...)。まして時差ボケで眠れなかったり体調を崩すかも知れない海外旅行は、基本的に苦手なんで、訪問地に着いてから親しいミュージシャンに会えたりコンサートを見たりする、なんて事が無かったら(いつも貧乏旅なので)エコノミーの狭い座席での空の長旅は、とても我慢できるものではありません。でも、この機会を逃すと「もう一生『かの地』には行けないかも」という気にもなってきて(悩んでたこの時は、まだ同時多発テロ事件が起こるなんて心配もする必要が全く無かったし)、ハッピー・トラウムに「ガースのソロ・アルバムお披露目コンサートの前後の短期間、ウッドストックに行こうかどうしようか悩んでいるんだけど....」と連絡してみたら「8月は孫を連れて娘一家が泊まりに来るし、日本ツアーの準備もあるのでバタバタしてるけど、僕とアーティでPOOHの面倒は見るから、来れるんなら歓迎するよ」と言ってくれました。

 で、行き帰り出来るだけプー横丁の業務に支障が無いように1月のNAMMショウの時にお世話してもらった旅行代理店に調べてもらったら「コンサート前日の8月23日(木)の夕方に関空を発って(時差があるから)同日の午後10時過ぎにニューヨークのラ・ガーディア(La Gardia)空港着。帰りは26日(日)の朝6時台の便に乗ると月曜の夕方に関空着のがある」との事。めちゃくちゃキツイ日程ですが「もし、行けたらそれだけでラッキーなんだし」と思って仮押えの旅行スケジュールを再びハッピーに知らせたら「その週の土曜日は友達の結婚式で僕とジェーンは出かけるけど、アーティがPOOHのケアをしてくれるだろう。最初の夜はウッドストック・インというホテルを予約しといてあげる。空港からウッドストックまで来るのには幾つか方法があるけれど、初めての旅なら割とリーズナブルな料金で専用のタクシーが予約できて、空港からウッドストックまでは僕とジェーンもいつも利用してるのがあるから、それに乗るといい。予約も僕の方からしておけるよ」と言ってくれました。アーティにも連絡してみると「夏中の土・日曜の市内は観光客で一杯になるけど、金曜日は1日ゆっくりできるだろう。ガースのコンサートは僕も行くよ」と返事をくれたので、「それなら行こうかな」という気になって、ウッドストック行きを決めたのです。以下はウッドストックでの《2日と何時間か》の出来事です。

 ラ・ガーディア空港には予定通り8月23日(木)の午後10時過ぎに到着したのですが、何とゲートが混み合っていて順番待ちで1時間ほど機内で待機しないといけないとの事。乗客は皆んな不満げでしたが「空の上で待たされてたら『ダイ・ハード2』みたいで堪らない気分だったろうなァ。空港まで無事に着いたんだから良しとせねば」と思って、こんな時の為に持って来てた読みたかった文庫本(ちなみに柳家小三治の『ま・く・ら』という、友人が送ってくれた本で講談社文庫から出てます)を読んで私は充実した(?)時間つぶしをする事に。結局1時間半近く遅れて、入国手続きも済ませると、出口は(何便も遅れているので)各々の友人・知人を待つ大勢の人でごった返している様子。「そうだ、ハッピーが頼んでくれていた専用タクシーのドライヴァーは名札を掲げてると言ってたけど同姓の人が居るかも知れないしなァ。面倒な事にならないといいけど...」と少し不安に思っていたら、一番前に立っている大柄の男性の持ってるプレートに大きな手書き文字で「Mr. Pooh」ってあるのがスグに見つかって「プーの名前で予約してたのか。これなら間違いが起きないとハッピーも思ったのかな」と1人クスッと笑ってしまいました。その男性に「Poohは私です」と伝え、バゲッジ・ルームで受け取った荷物を彼のタクシーのトランクに積み込んで乗車。大型のタクシーで、乗り心地も悪く無かったです。

 で、そのドライヴァーの人と初めは話したり、彼も「右手に見えるのがヤンキー・スタジアムだ」なんて説明してくれていたのですが、長旅で私が疲れているのが見てとれたのでしょうか「ウッドストックまで約2時間かかるから、仮眠とるならそうしたらどうですか」と言ってくれたので「到着する10分くらい前に起こして下さい」と頼んでウトウトする事に。私が眠る前、彼はタクシー会社のオフィスや自宅の奥さんに携帯で「飛行機の大幅な遅れで予定より戻りが遅くなる」旨の連絡をしたりしてたのですが、何度目かに目が覚めた時に彼は別のところに電話して留守電にメッセージを残してる様子なので「どうしたの?」と訊ねると「ミスター・ハッピー・トラウムはあなたを無事ホテルまでお送りしたら確認の電話を必ずするようにとタクシー予約の時のメモ書きにあるので連絡したんです」との事。「えーッ、そこまでハッピーは気配りしてくれてたんだ」と心の中で驚いていると、彼の携帯の着信音が鳴りました。どうやらハッピーのようです。電話を替わって「POOHです。着きました。予約してくれてたタクシーは乗り心地いいし、ドライヴァーも親切なんで、リラックスして居眠りしてたところ」なんて話をし、明日(といっても既に午前1時過ぎ)の朝、起きたら電話する事を約束して、再び仮眠。「ウッドストックです。もうすぐホテルに着きますよ」と起こされて、程なくして着いた所は森の中にあるロッジ風のホテル。「部屋の場所を確かめて来ます。あなたはここで」とドライヴァー。戻って来ると「そこに見えるのが部屋です。ドアにこの封筒が貼ってあって、中にルーム・キーが入ってるようです。チェックインの手続きは明日でいいと書いてあります」と親切に教えてくれ、ドアまで荷物を運んでくれました。前もってハッピーから料金は聞いていましたが「いくらですか?」と訊くと「それもミスター・ハッピー・トラウムに連絡する事になってるので....」と言い残して彼は帰りました。スーツ・ケースを開けて着替えを出したり、明日の準備をしてから、ふと時計を見ると午前3時を廻っています。「眠らないと体がもたないぞ」と思いながらも、なかなか寝付けません。タクシーの中で仮眠をとれたので、それほど疲れてる感じは無かったのですが、TVを見たりしながら5時過ぎに少しウトウトした程度で8時には目覚めてしまいました。

 翌日の朝、9時過ぎにハッピー・トラウムの自宅に電話し、朝ご飯を一緒に食べる事にしました。歩いて数分の喫茶店みたいなところに入り、モーニングのメニューから2人ともフレンチ・トーストを、私は蜂蜜シロップ、ハッピーはブルーベリーの入ったソース付き、そして各々オレンジ・ジュースを注文。「コーヒーも飲もうか」とハッピーが言って、濃いのや薄いのやカフェイン抜きのや幾種類かのコーヒー・ポットが並んでいて、近くにぶら下がっているカップを勝手に取ってセルフ・サービスで注ぐんですが、そのマグ・カップがちょっとしたジョッキ位あるんじゃないかというような大きさで驚きました。で、テーブルに届いたフレンチ・トーストも「2つで充分じゃない?」という大きさのが、これまたデカい皿に4つ(フランス・パンを分厚く斜め切りしたやつがボーンと皿に乗っかっているので4枚っていうより4つって感じなんです)。案の定2人とも食べ切れなくて2枚で結局ギブアップ。食べながら今日の予定を打ち合わせ。前もって連絡して会う事になってるのはトム・アクステンスだと伝えると「さっきアーティに電話したら、トムはアーティの家でPOOHを待ってるってことだ」とのこと。「あとはジョン・ヘラルドと、ジム・ウィーダーとユージーン・ラファロと、それにトム・パチェコがハッピーの電話番号知らないって言ってたんで、僕がウッドストックに着いた後で電話して会う日時を決めようって事になってるんだけど....」「OK、そしたらアーティの家にこれから行って、それぞれに連絡してみよう。それと今晩からはPOOHは僕の家のゲスト・ルームに泊まったらいいよ」という事で、ホテルに戻ってチェック・アウトし、荷物をハッピーの車に入れて、我々はアーティ宅へ向かったのでした。 

続きは「ウッドストックに行ってきました/その2」へ。

 

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