POOHの世間話コーナー

ナム・ショウに行ってきました 2001年1月

 1月17日から22日までカリフォルニアのアナハイムで行なわれたNAMM Showに行って来ました。ご存知の方も多いと思いますが、ナム・ショウは主に全米はもとより世界各国のアコースティックとエレクトリックの楽器メーカーや楽譜出版社が大小1200ものブースを設営して行なわれる国際的な見本市であり、世界各国の楽器業界関係者が集う一大イヴェントです。レコード会社関係は参加しないイヴェントですので、これまで私は1度も行った事はなかったんですが、プー横丁の新レーベル、スライス・オブ・ライフでハッピー・トラウムの80年作『ブライト・モーニング・スターズ』を発売したり、トム・アクステンスの76年作『オリジナル&トラディショナル・ミュージック』のプロデューサーでもあるアーティ・トラウムには今回のリイシュー盤リリースでも色々とお世話になったので、ハッピーとアーティそれぞれに会っておきたいと思い、NAMMに行けば少なくとも彼等2人に会えると判っていたので、ぎりぎりになって急遽決心して行く事にしました。前もって連絡し合って(あるいは偶然に)何人かのミュージシャンと現地で会いましたので、そのお話をしましょう。

 ロサンゼルス空港に着いたのが1月17日(水)の午前11時少し前。10時間以上の長旅からようやく解放され、ホテルに直行して休みたいのは山々ですが、デヴィッド・ラズリーと彼の事務所のローラ・ステッグマンさんに空港で会う約束をしているので、そうもいきません。約束の時間まで時間をつぶして待ち合わせ場所である空港内の某レストランの前のベンチで待機。デヴィッド・ラズリーは、スライス・オブ・ライフからコンピレーション・アルバムを発売したキャリアも実力も充分のシンガー・ソングライターで、ジェイムズ・テイラーの信頼を得て、バック・ヴォーカリストとして22年余もの長きにわたってツアーやレコーディングでJTを支えている人。又、ボズ・スキャッグスの「JoJo」を初め、アニタ・ベイカー、マキシン・ナイチンゲール、アリサ・フランクリン、ティナ・ターナーなど、数多くの大物アーティスト達が彼のオリジナル作品をレコーディングしています。本人は勿論、ローラさんとも会うのは初めてでしたが、長旅で疲れてないかなどと気づかってくれ、そのレストランで一緒に食事をしながら暫し談笑。彼のアルバム『バック・トゥ・ブルー・アイド・ソウル』がスライス・オブ・ライフから発売される事を2人とも本当に喜んでくれていて「妹の家のベビーシッターが日本人なので、翻訳してもらうから解説書のコピー送ってね」とローラさんに言われました。長身で落ち着いた物腰のデヴィッドは、その長髪と笑顔が印象的な好人物。『バック・トゥ・ブルー・アイド・ソウル』の10曲目「Stay Gold」は彼が(ファルセットではなく)珍しく地声で歌っている作品ですが、その時の彼の普段の話し声は、同曲でのヴォーカルよりも更に低く感じました。「日本のファンの皆さんにくれぐれも宜しく」との事でした。

 ホテルに着いた私は、チェックインを済ませて部屋に入り、バタンキューで仮眠。次に目覚めた時には午後7時すぎでした。ほどなくアーティ・トラウムから電話があり、明日は会場2階のテイラー・ギターのブースに居るから午前中にそこで会おうという事に。アーティとは別の、近くのホテルでのチェックインを既に済ませているはずのジーン・パースンズとメリッディアン・グリーン夫妻に電話連絡。互いに予定通りアナハイム入りしている事を確認し合って「晩ご飯を一緒に食べよう」という事に。30分ほどして電話がかかり、ロビーで初対面。そうです。彼等2人に会うのは今回が初めてです。メリッディアンのソロ作『IN THE HEART OF THIS TOWN』の輸入盤をプー横丁でディストリビュートし始めてから彼等とは数え切れないくらい頻繁に連絡を取り合ってきましたが、実際に会うのは初めてでした。でも、すぐに打ち解け、彼等が見つけておいてくれた車で10分ほどのところにある日本料理の店に向かう事に。彼等はうどんやソバ、天ぷらや巻き寿司や味噌汁は好きだし、さしみ(生魚を食べるという食文化・習慣が無いので、さしみはダメという欧米人は多い)もOKという話は以前から聞いていたのですが、箸も使い慣れてるのが一目で判る上手さでした。ジーンと私はビールを頼み、メリッディアンはワインをオーダーし、乾杯。2杯目からはジーンは日本酒を注文、おちょこを2つ頼んでくれて、2人でチビチビやってました。アルコール類には弱く、限りなく下戸に近い私が酒宴でも普段は全く呑まない日本酒を何杯か(まぁお酒好きの方からすれば笑われる程の量なのですが)摂取してしまいましたので、すっかり「ホロ酔い気分+α」という感じになりました。「普段はワインくらいなんで、これだけ呑んだのは久しぶりだよ」と言うジーンの目の周りが真っ赤になってたんで「ジーン、目の周りは真っ赤になってるよ」と言うと「POOHは顔中真っ赤になってるよ」と言われてしまいました。それからジーンはお茶を飲んだりして、談笑しつつ酔いをさます事に専念。時計が午前0時をまわったあたりで、そろそろ帰ろうかという事になり、ホテルまで送ってくれました。

滞在中にメリッディアンから「本当はナッシュヴィルへ行く予定だったけれど、POOHがNAMMに来ると連絡を受けたんでジーンも私も絶対会いたいと思って予定変更した」と聞かされました。感謝感激であります。メリッディアンもですが、特にジーンは心の暖かい素晴らしい人で、彼の好人物ぶり、或いは根っからのミュージシャンぶりを示す出来事を幾つも見聞し、傍に居れる事の幸せを感じた3日間でした。

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