これは、京の噺家の桂米二さんにお寄せ頂いた原稿です。 アルバムのジャケットも米二さんに送って頂いた画像です。

 

 

3枚のアルバム

 

プー横丁40周年、まことにおめでとうございます。今の時代にレコード屋さんを続けてこられたのはたいへんな偉業だと思います。なんせCDが売れなくなって久しいですから。私の落語のCDも全然売れない……。
ところで、なんで噺家がレコード屋さんと関係があるねん、と思われる方もあるでしょう。世間にはあまり知られてないと思いますが、松岡さんは落語ファン(たぶん隠してはります)で、以前は落語会のお手伝いもしていただいたことがあるのですよ。
そんなわけで細々とお付き合いさせていただいてるのですが、音楽関係でもなんでもない私にも「3枚のアルバム」の企画に参加してくれろ、というご依頼です。嬉しくて楽しいじゃありませんか。こういうのん。
で、3枚を選ぶ基準ですが、今でもよく聴くアルバムという括りにしてみました。したがって古い古いアルバムということになります。
あ、私、これでもロックファンなんです。ことにエリック・クラプトンの病的ファンであります。さすがに海外までは追いかけませんが、日本公演を観た回数は、2011年のスティーブ・ウィンウッドとの共演までで通算51回を数えます。どう?
ですから1枚はどうしてもエリック・クラプトンを選ぶ義務があります。そしてやっぱり、これしかありません。



 

LAYLA and other assorted love songs / DEREK AND THE DOMINOS

1970年、ドミノス時代のこのアルバム。LAYLAというのは親友ジョージ・ハリスンの妻パティのことですね。彼女に宛てた強烈なラブソング集です。これと出合ってなかったら桂米二プロフィールの趣味の欄に「エリック・クラプトン」の文字はなかったことでしょう。一生の趣味になりました。最近ここへ「劇団四季」というのが入りましたが……。
もちろん最初に買ったのはLPです。2枚組でした。LPは聴くと減りますから、イギリス盤、アメリカ盤、日本盤の3種類持ってました。微妙に音が違って、イギリス盤には曲の前に話し声が入ってるのもあったような。それほど愛したのですが、今はもう段ボールに入れて押入れの隅に入ってます。
CD時代になって、CDは聴いても減らないのにたくさん買いました。というか、音が良いのだとか、リマスターとか、ミックス違いとか、デラックスとかいっぱい出してくるんですから。卑怯です。最初はCDも2枚組でしたが、すぐに1枚に。長時間入るんですねぇ。
好きな曲がいっぱいあって、その曲を生で聴きたくて、1999年にBELL BOTTOM BLUESが、2006年ツアーの最後になってLITTLE WINGとWHY DOES LOVE GOT TO BE SO SADが飛び出した時には狂喜したものです。それから……。もうやめときます。なかなか2枚目へ行けないので。



 

YOU'RE ONLY LONELY / J.D. SOUTHER

次はこれにしました。我々噺家は修業期間というのがありまして、私の場合、桂米朝の家で3年間内弟子(住込み)修業をしておりました。その厳しい(?)内弟子を卒業した時、巷ではこの曲が流行っておりました。1979年の暮れでした。タイミング良く来日公演があり、観に行くことができたのです。
ウェストコースト・サウンドと言うやつですね。イーグルスのメンバーも参加してますし、心地良いサウンドです。
今でもふと口ずさんでる曲がたくさんあるというアルバムなんです。



 

DARK HORSE / GEORGE HARRISON

1枚はビートルズを選ぶつもりでした。ビートルズは私にロックを、音楽の楽しさを教えてくれた恩人なのです。数多い作品の中から今でもよく聴くということで、これを選びました。ジョージのソロアルバムです。
このアルバムはジョージのソロの中ではかなり評価が低いアルバムだと思います。暗いとか重いとか、1974年に発表されたはずでずが、当時の批評にはええこと書いてなかったという記憶があります。本人もクラプトンにLAYLAこと妻のパティを取られたところで暗かったことでしょう。二人のことを皮肉ったBYE BYE LOVEなんて曲も入ってます。
でもいい曲ありますよ。SO SADなんて悲しい悲しい曲(だと思います。訳詞がないからわかんない)ですが、ジョージの曲の中で1番に好き……じゃなくて、2番目に大好きな曲です。1番はSOMETHING。
そして4枚目のアルバムは……。えっ? もうおしまいですか。そうでしたね。3枚でした。もしあと1枚挙げるとしたら、JJ・ケイルでしょう。でもたくさんのアルバムで1枚だけ選ぶのは難しいですね。

以上、桂米二が今でもよく聴くアルバム(落語は除く)のご紹介でした。


  

 

2013年の40周年記念ページへ戻る

プー横丁HPのトップページ

プー横丁の買い物かごサイトShop at Pooh Corner

2003年の30周年記念ページ

POOHの世間話コーナー