これは、ソロ・ギタリストの逆瀬川剛史さんにお寄せ頂いた原稿です。 

 

 

■多くの人がそうであるように、これまで僕も音楽に多く助けてもらいました。一つひとつの愛聴盤が、

人生を強く支えてくれます。流行り・廃りのあるものではない、心の奥底にタッチする音楽との出会いは

かけがえのないものです。

 

僕が選ぶ三枚はこちらです。

  

  

 

奇跡の山 / 岸部眞明 

骨太なのに繊細なタッチ、ナチュラルで琴線に触れる曲想。全体の構成がコンセプチュアルに仕上

がっているのも魅力です。このアルバムの音が大好きで、21歳の時に、岸部さんにお願いして同じ

レコーディングスタジオを紹介して頂きました。そこで2〜3日かけて自分の音を録ったのですが、

全く思った通りにならない。「奇跡の山のようなサウンドメイクにしてほしいんですけど・・・」とエンジ

ニアさんに伝えたところ、「じゃあ(奇跡の山の)データが残っているから、聴いてみましょう」と言って

その場で聴かせて頂きました。その音の素晴らしいこと・・・その秘密を知りたくて、エンジニアさんに

「エフェクト(残響などの後処理)を全てオフにして、素の音を聴かせて下さい」と頼んだところ、「今は

全てオフになってるよ」と。・・・あまりに衝撃的でした。あの素晴らしいサウンドは、実際に岸部さんが

出している音そのものだったのです。おいしい野菜は塩をかけるだけで良い、という言葉があります

が、音楽も同じだとこの時悟りました。いいギターといいプレイがあれば、いい音楽が生まれる。この

気付きはその後の僕の音楽にとても大きな影響を与えています。

 

   

 

Sakigake / Okapi

パーカッシブなプレイを得意とするOkapiさんですが、彼の一番の持ち味はその独特のメロディセンス

です。僕はつい他の人の作曲を分析してしまうのですが、彼のような曲作りをする人を他に知りません。

指癖で弾いてる感じ全くなく、どんなメロディが来たらワクワクすることが出来るかということをすごく

考えてる人だと思います。彼の曲は全部シングルカットできるだけの力を持っている。多作家では

ないけれど、一曲入魂の本物のアーティストです。

 

   

 

Giovannni / Allevi Joy

イタリアでは爆発的な人気を誇るピアニスト、ジョヴァンニ・アレヴィ。全編ピアノソロのアルバムです。

一般にプレイヤーというのは、上手くなればなるほど複雑なことをしたがる傾向があります。ヴォシング

を複雑にしたり、リズムで意表をついたり、速弾きを入れたり・・・それはそれで楽しい部分もありますが、

ときに曲の持つ輝きを曇らせてしまうこともあります。

ジョヴァンニのピアノはとてもシンプル。弾くだけなら結構トライできちゃう部分があります。それでも聴く

人の心を捉えて離さないのは、その曲想の豊かさにあるのでしょう。クラシックを基礎にした確かなテク

ニックと、叙情的で想像力をかき立てるメロディ。胸を打つ曲の数々が、多くの人の生活を潤してくれて

います。

 


 

以上が僕の選んだ三枚です。

プー横丁さんとの交流は、3年前、僕のアルバム「Short Stories 生命の森」を差し上げたのがきっかけ

でした。あの後すぐに嬉しい感想をお伝え頂いたことが、その後の活動の大きな励みになりました。

真剣に投げれば真剣に打ち返してくれる、そんなプー横丁さんの在り方が大好きです。50周年に向けて、

これからも頑張って下さい。

 

  

 

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