これは、ソロ・ギタリストの小川倫生さんにお寄せ頂いた原稿です。 

 

  

プー横丁さん、40周年おめでとうございます。
移り変わりの激しい世の中、コンセプト変えずに40年続けてこられたことは物凄いことだと思います。
僕より1歳年上なんですね!
自分の生まれる前からあるって考えるとこれまた驚きです。

 

さて「私の好きな3枚のアルバム」というお題を頂きました。
せっかくですので、僕の音楽人生に大きな影響をもらったアルバムを選んでみようかと思います。
10枚でも絞りがたいところをなんとか3枚選んでみました。
(クラシックや現代音楽の作曲家もいますが、今回はプレーヤーに絞りました。)

  


 

* Bill Evans Trio / Waltz For Debby

自分の人生を振り返ってみると記憶がある頃から音楽が好きだったのはよく覚えています。
日曜画家でもある父親がアトリエで音楽を聴いているとすすすーと寄っていてよく音楽を聴いていたのを覚えています。それで初めて感動したギタリストの音楽はサンタナの「ブラック・マジック・ウーマン」でしたが、自主的に音楽を聴くようになって初めてめり込んだのがこのアルバムでした。
1961年のニューヨークのヴィレッジバンガードという場所で起こった奇跡の記録。
これを初めて聴いたは小学校5年生音楽でしたが、音楽というものの魔法を感じ取りました。
「エバンスとスッコット・ラファロの間に生じる、音楽でしか視ることが出来ないテレパシーのようなもの。」
そんな神聖なものを扱えるような音楽というものを仕事にしていきたい、と漠然と思いました。
これをきっかけとして僕の音楽人生が始まりました。

  


  

* Bert Jansch/Rosemary Lane

子供の頃なろうと思ってたのは、始めはにニニ・ロッソのような歌手&トランペッター、その次にピアニスト。
そして今の楽器、アコースティックギターに中学生の時に出会うのですが、その時期に大きな影響を受けたアルバムです。
たくさんの素晴らしいギタリストに出会って影響を受けまくったので「人生を変えた」アルバムを選ぶのは至難の技です。それまでにギターの音楽は耳にしていたはずだけど、心を奪われたのはバート・ヤンシュでした。
そのプレイスタイルもそうですが、フィンガーピッキングというものに目覚めさせてくれたのも彼でした
。意外と思われるかもしれませんが、それ以前は僕は歌を歌うのがギターよりも好きでした。
その歌と同じくらいにギターというものの存在を引き上げられたアルバムでもありました。
このアルバムに出会わなかったらギターを弾いていなかったかも知れません。

  


 

 * Emilio Cao/Sinbad en Galicia

耳慣れない名前かもしれませんが、僕が自分のアルバムを作ろうと決意させてくれたアーティストです。
スペインはガリシアのシンガーソングライターでケルティックハープとギター奏者でもあります。
「知らない所に旅に出てきたような。」とか「1冊の物語を読んだような。」・・・。
彼のアルバムを聴くとそんな切ない心の旅を経験します。
「僕もそんなレコードを作ってみたい!」
ですから、彼のコンセプトは僕のアルバムの原動力でもあります。
『ガリシアのシンドバッド』は僕に「創作はすべてにおいてイマジネーションが大切」だと言うことを気付かせてくれました。
今でも大切な宝物のようなアルバムです。
これからも末永く。

 

  小川倫生(オガワミチオ)

  

 

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