これは、プー横丁の店員だった境博賢さんにお寄せ頂いた原稿です。
私の好きな3枚アルバム 元店員
境博賢 ■The Mothers of Invention / FREAK
OUT!(日本盤) このアルバムが日本で発売された当時、確か私は中学生であった。事前の知識も対してなかったはずが、3000円という高価な2枚組アルバムを無理して買ったのだった。 ■Sister Rosetta Tharpe / There’ll Be Peace
In The Valley For Me(仏MCA盤) このSister Rosetta
Tharpeを上げようか、「RCAブルースの古典」を上げようか迷ったのだが、よりハートに響くという点でこちらにした。 ■桂米朝 / 昭和の大全集 さて、米朝氏だ。若くして落語好きではあった私だが、それはラジオから流れてくる時に耳を傾けるといった程度であった。それがだ、当時店主をしていた、あっそうか、その後30年も店主をしているプーさんからこのシリーズを聞かされ「はまった」のである。泥沼に引きずり込まれるようにはまった。来る日も来る日も、音楽を聞くように多くの録音を聴きまくった。それだけではない、今思えば絶頂期にある米朝氏の落語会に足を運び、その後京都を離れることになっても機会を見つけて米朝氏・枝雀の会には出向いて行った。今では私の経験宝となっている。
30年前私は店員であった。いやその前アルバイト時代を入れば30年以上前、私はプー横丁の入口近くにあったカウンターの内側にいた人であった。とにかく音楽好きが高じて、気がつけば業界の内側の人になっていた。
さて、3枚のアルバムだが、次の3枚を上げてみたい。
この手のものはその時「ロック」ではなく、「ニューロック」または「アートロック」と呼ばれていた。植草甚一氏の解説もピンと来ないまま、この不思議で怪しげな雰囲気の音楽がその後長くザッパを聞いていくスタートとなったのだ。結局この時感じ取っていたのはなんだったのかと考えてみるのだが、それは何かあてのない、しか強烈なプロテストに似たメッセージのようなものではかったか。勿論、事細かに英語の意味がわかるはずもないのだが、ロックがその後ビッグビジネスへ取り込まれ変身していく中で、それらとは違った何かをスタトの時点から感じていたのだろうと思う。音楽に対する私の基本スタンスにイパクトを与えたアルバムとなった。
いや、初めSister Rosetta
Tharpeを聞いたのはGospel
Trainなのだが、どの曲もどの曲も五臓六腑に染み渡る。
私にとって彼女の魅力の一つはジャズ、ゴスペル、ブルースなどが渾然一体となったそのスタイルにある。特にギターだ。サムピックでアップストロークされるサウンドは、独特なノリとなって鼓膜を捉えるのだ。
その数多い曲の中でもThere’ll Be Peace
In The Valley For
Meは明確に祈りをイメージさせてくれる曲だ。
敬虔な信仰心が力強い歌声になって当方の心を揺さぶる。後年CDを入手しLPがターンテーブルに乗ることはなくなったが、ここにはLPの写真を掲載したい。
音楽を含め、演者・プレーヤーを「芸」という視点から見ることを教えてくれた作品群でもあった。
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