これは、構成作家、ライター、シンガー・ソングライターの東野ひろあきさんにお寄せ頂いた原稿です。
『ボクが好きな3枚のアルバム』 こういうテーマを与えられると「そんなの無理だぁ」「選べないよ?」ということになりがちですが、そこは欲を出さずに、目を閉じて、すっと思い浮かんだものに従うことにします。すると、ボクの場合ライブ盤≠ェ並びました。たとえば、じっくりと自分のオールタイムベスト30枚をセレクトしたとしても、3分の2はライブ盤なんです。それが録音された時の、時代と会場の空気感がそのまま詰まっている感触が好きなんですね。 ♯1 『Hard Rain』(Bob Dylan) ディランはボクにとって永遠のアイドルですが、ダメなものも含めて好きなのではなく、駄作は駄作、センスのないジャケットは嫌いだとはっきり言えるほど、お気楽な存在です。神様でもないし、ただシンプルに「この人の一番カッコいい時期に、ステージで歌う姿が好きで好きでたまらない」というだけ。そのカッコいい≠ニいうのが、1975〜76年に行われたRolling
Thunder
Revueで、ボクは「すべてのLIVEパフォーマンスの中で最高」と感じ「これがボクの求めているロック」だと確信し、何度も何度も聴き続けている宝物なんです。 …………………………………………………………………………………… ♯2 『鼻歌とお月さん』(中川イサト 他) ※LPの正式タイトルは「鼻唄とお月さん-中川イサトLIVE
AT THUNDER HOUSE KOBE 29TH.DEC.1975」 時代の空気感≠ニいう意味では、ボクにフォークの魅力をなすりつけた「春一番」の頃が一番好きです。 …………………………………………………………………………………… ♯3 『Live at Fillmore East』(Allman
Brothers Band) バンドの音としてしっくり来たのは、ヘビーメタルでも、ウエストコーストでも、ブリティッシュでもなくて、、、 ※それにしても、Rolling Thunder
Revueの様子も、Fillmore Eastの演奏も、You
Tubeで簡単に見ること そして「鼻歌とお月さん」の神戸サンダーロードでのステージの映像を見ることが出来ないのも、それ …………………………………………………………………………………… 松岡さん、プー横丁40周年おめでとうございます。 今までより、これから、どうぞよろしくお願いします。 東野ひろあき
で、その3枚は、、、
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このアルバムの冒頭の曲-Maggie's
Farm≠フ激しさ、続くOne Too Many
Mornings≠ナ吠える声そしてStuck Inside Of Mobile
With The Memphis Blues
Again≠フ疾走感、、、決まった!と思いました。よくある「無人島に一枚持って行く」のはコレだと。
のちに「The Bootleg Series Vol.5 : Bob Dylan Live
1975, The Rolling Thunder
Revue」として、2枚組が発表
されて、聴きたかった未発表音源を耳にすることが出来ましたが、それはそれとして、やはり、このジャケット
と共に、このアルバムで受けたショックはいまだに新鮮に残っています。
だったと思います(のちに出る11曲入り編集版ではなく、22曲収録のLPの方です)。
そして、その頃、阿部さんが立ち上げたオレンジレーベルから出た一連のアルバムに「こんなん好きや
わぁ」とのめり込んだ覚えがあります。西岡恭蔵さんの「ろっかまいべいびい」大塚まさじさんの「遠い昔
ぼくは…」ソー・バッド・レビューの「Sooo Baad
Revue」金森幸介さんの「少年」加川良さんの「南行きハイ
ウェイ」あたりですね。その流れの終着点がこのアルバムなんです。たくさんのゲストが、イサトさんのオリ
ジナル曲と自作曲を歌うというスタイルも素敵だし、何よりもイサトさん自身の弾き語りの魅力ここにあり!
ですね。そして、ボクは54歳になった今も、もう一度、あの頃の風に吹かれたいと思い続けています。
サザンロックでした。ストレートなロックよりも、泥臭くてかったるい感じ、透き通ったイメージじゃなくて、
いがらっぽい肌触りを渋い≠ニ感じたんです。グレッグのヴォーカル、デュアンのスライドギター、ツイン
ドラムスのドンドコドカドン。このライブが録音されたフィルモア・イーストという空間に、その瞬間漂っていた
熱気がそのまま収められていて、夜ごと、ヘッドフォンで「そこにいる気持ちで」浸っていました。Hot
'Lanta
とIn Memory of Elizabeth
Reedを今までに何回聴いたんやろか。そして、これから何回聴くんやろか。
が出来るんですから、夢のようです。
はそれでいいかなぁと思います。
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