POOHの世間話コーナー

ジョン・サイモンとガース・ハドスン《98年の通販カタログより》 

 えーッと、「97R2」カタログでもご紹介した新作『THE BARN』が好評の佐野元春&ホーボー・キング・バンドの皆さんとのご縁で3月29日大阪フェスティヴァル・ホールで超満員のファンを集めた彼等のコンサートにご招待頂き、行ってきました。

 3日連続して同ホールで行われたコンサートの最終日で(佐野氏が風邪をひいてキャンセルされたコンサートが残っていたけれど元々は)彼等の全国ツアーの最終日でもある同夜のコンサートには何とその日1回だけの出演の為にジョン・サイモンと(もちろんザ・バンドの)ガース・ハドスンの2人が来日し、スペシャル・ゲストとして登場するというビッグなプレゼントが用意されていたのでした。

 開演前の楽屋で会ったジョンは阪神タイガースの野球帽をかぶっていて、終始にこやかな様子。挨拶した私が以前に手紙を送ったPOOHである事をよく覚えてくれていて、すっかりミーハー状態となってしまいました。「ホーボー・キング・バンドがアルバムTHE BARNをベアズヴィル・スタジオで録音した時の事はメンバーのKYON氏から詳しく聞いていますヨ」なんて話から始まって「ジム・クロウチの息子、A・J・クロウチのソロ・アルバムをプロデュースする事になったキッカケは?」とか、「そのアルバムのもう1人のプロデューサーT・ボーン・バーネットをボクはアーティストとしても好きなんですが、彼は普段はどんな人ですか?」とか、「プロデュースしたいと思うアーティストはどんなタイプの人ですか?」とか、私が思いつくままに尋ねる質問にも嫌な顔ひとつせず(時々ユーモアも交えながら)丁寧に答えてくれるジョンさんでして「とても気さくな人」という表現がピッタリの、好人物でした。

 で、ガースの方はというと、大柄ではあるけれど、それまで私が思っていたイメージの「巨漢」という感じとはちょっと違っていて、でも彼の体全体から発しているオーラというか威厳みたいなものは凄く感じました。ジョンもガースも話好きだけれど、ガースは誰に対してもとてもユックリしゃべるのとジョンの比較的早口でしゃべるのが好対象で、2人が話してるのも横で見ていて面白かったです。

 ひとしきり話したガースがその場を立ち去った後で、ジョンが私に向かってひと言「ガースは話し出すとなかなか終わらないんだ」。でも、2人とも普段から大の仲良しのようで、好みの音楽(例えば古いビッグ・バンド・ジャズだったりするのですが)で気に入った演奏のアルバムがあればテープに録って交換し合ったりしているとの事。日々の自宅でのピアノ練習も含め今でも「より良い音楽の作り手として現役であり続けたい」「更なる高みを目指して日々の努力を続けたい」という真摯な姿勢が雑談の中からも窺えて、私はとても嬉しくなりました。2人とも数多くの名盤に関わっていながらも、その事を私が言うと照れ臭そうにするジョンとガース。少しは気難しいところもあるのではという想像が全く的外れだという事を思い知らされた一日でした。

 それから、最後に1つ。この事はジョンの居る前で佐野氏から教えて貰い、驚いてジョンにも確認したのですが、彼は「ヴァン・ダイク・パークスは知らない」のだそうです。名前は知ってるけれど、「彼のアルバムは一度も聴いた事がない」そうで何か意外な感じがした事をご報告しておきます。で、ジョンやガースの演奏も含む当夜のコンサートの模様を収録したライヴ・ビデオも近日発売予定との事ですので、お楽しみに。同夜のコンサートにリハーサルから打ち上げまでご一緒させて頂く機会を与えて下さった佐野氏やKYON氏をはじめ、関係者の皆様のご厚意にあらためて感謝申し上げます。

 

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